冬
一年の始まりは剪定です。
剪定は昨年のぶどうの芽の数を減らし、1つあたりの芽に送られる養分を多くする、というのが一つの目的です。
その他にも、枯れた枝やつるは菌や病害虫の住処になるのできれいに取り除き、樹が立派な果実を成らせられるように、枝の配置を行い、1年の樹の成長の方向を決めてあげる作業です。
5月下旬
ぶどうの花が咲き始めます。
信州はこの時期あたりから暖かさを感じます。
この花の蕾一つ一つが、ぶどうの実になっていきます。
この蕾を全部開花させると樹が疲れてしまう上に、実が自然に落下してしまい、ぼろぼろの房になってしまいます。
上の方の蕾を落として(房きり)、栄養と力が集中できるように調整します。
こうして、実の詰まったきれいな房を作る準備をしていきます。
6月上旬
花が咲き始め、数日で満開になります。
写真は房きりをした後のぶどうです。
種無しぶどうを作る場合は、満開の日から数日の間に「ジベレリン処理」をします。
ジベレリンという液体につけるのですが、これは化学薬品ではなく、稲からとったホルモン剤です。
このあたりから、ぶどうは急激に成長していきます。
6月中旬
実が大きくなってきました。
写真は粒を抜いていく摘粒(てきりゅう)という作業をおこなった後です。
もともと房きりにより蕾の数を減らしていたぶどうは、残っている実に力を注ぎます。
実はとても大きくなり、隣の実とおしくらまんじゅう状態になります。
その結果、実は周りからの圧力に耐えられなくなり、割れてしまいます。
それを防ぐために、実と実の間に空間をあけていきます。
また、実の数を制限することで一つ一つの粒が大きく育ちます。
7月上旬
ぶどうの実はみるみる大きくなり、開けた隙間も埋まり始めます。
この段階でまだきつそうなところは再度抜いて、隙間を確保します。
実は、その房によっても付いている位置が違ったり、実がうまく大きくならなかったり、それぞれの個性があると思います。
ひとつひとつの様子に合わせて、手を入れていきます。
そして、袋をかけて守ります。
7月中旬~
「飛び玉が出る」と言いますが、ぶどうが袋の中で着色を始めます。
この着色が始まり、ぶどうは完熟に向かっていきます。
品種によっては、ここから着色完了までは、実が割れてしまいやすい時期になります。
7月下旬~
着色は順調です。
ぶどうの上に見えているのは日よけのための傘です。
これがないと熱い夏の日差しで実が焼けてしまいます。
反対に葉にはたっぷり日の光を受けて、実を成熟させていきます。
8月上旬~
ぶどうの色は巨峰など早いものでは、この時期にはだいぶ着色してきている房もあります。
酸度が低下し、糖度が上昇して、美味しいぶどうに変わっていきます。
これから収穫の時期まで、じっくりと完熟にむかっていきます。
8月下旬~
巨峰は販売開始となります。
ぶどうは樹の幹から遠い枝から熟していきます。
樹からランダムにぶどうを何房か採り、糖度と食味のチェックを行います。
房の中でも上のほうから順次熟していきますので、房の中段あたりをチェックします。
チェックを終えて基準をクリアしていたら、熟している房から収穫します。
外観、色、病気などがないかをチェックしながら出荷をしていきます。
こうして選ばれたぶどうが、皆様の手元に届いていきます。
一生懸命育ったぶどうに、
皆様が感動していただけることを願っています。